絵筆の毛には色々な種類がありますが、その中でもセーブル系の毛はバリエーションが多いです。
セーブル?コリンスキー?ブラックセーブル?と疑問に思ったので、今回はセーブル毛について調べました。
ざっくりまとめると「イタチやテンの毛を総称してセーブルと呼ぶ。中でもコリンスキーは特に高品質」という感じです。
今回はコリンスキー、レッドセーブルなどのセーブル毛の名称に加え、後半にはリセーブルやPCセーブル、ネオセーブルといった「セーブルっぽい名前の人工毛の筆」についても解説したいと思います。
セーブル毛の種類図
セーブルの毛の種類を図にしてみました。
セーブルの中でさらに「セーブル」が出てきたり、ブラックセーブルが2箇所になったりとちょっと複雑。
セーブルとは?
本来セーブルは黒テンのことを指す言葉ですが、そこから派生してイタチやテンの毛の総称として使われています。
セーブルの毛はしっかりとコシがあるのが特徴。
水含みが良い筆は柔らかいものが多いのですが、セーブルは弾力がありつつ水含みもある程度いいので重宝されます。
コリンスキー・レッドセーブルとは
コリンスキーとレッドセーブルは、両方ともチョウセンイタチの呼び名です。
筆メーカーはレッドセーブルの中でも特に高品質なものをコリンスキーと呼ぶようです。
そのため、同じ会社に「コリンスキー」と「レッドセーブル(赤テン)」の筆がある場合、コリンスキーの方が高品質です。(価格も高い)
例えばラファエルには8404(コリンスキー)と8424(赤テン)というラインナップがあります。
6号筆の価格を比較すると、8404は約7000円、8424は約3000円です。(2021年10月時点、Amazon価格)
ブラックセーブル(ポールキャット)とは
ケナガイタチはブラックセーブル(ポールキャット、フィッチ)と呼ばれます。
レッドセーブルとは別物。ブラックリセーブル(ホルベインの人工毛、後述します)とも別物です。
黒テンとは違う動物に使われることが多い言葉ですが、黒テンを「ブラックセーブル」と呼ぶメーカーさんも一部あります。
ポールキャットはイタチの仲間ですが、毛質は一般的なイタチとは異なります。牛耳毛(オックス)や、馬毛、鹿毛の混毛のような感じで、絵具をぼってりと含み、粘り気のある弾力とゴワゴワ感が同居しており、キャンバスに吸い付くような感触が特徴です。
Escoda エスコダ 油彩筆 3825 ポールキャット ラウンド 長軸 6号 | ゆめ画材
とのことで、他のセーブル毛の筆とは少し違うタイプの毛のようです。
ロシアンセーブル(セーブル・黒テン)とは
もともと「セーブル」は黒テンという動物を指して使われる言葉です。
単にセーブルと呼んだ場合は黒テンを指すことがあります。
ただし筆に関してセーブルというと、黒テンに限らずイタチやテンなどの総称として使われることが多いです。
人工毛(リセーブルなど)
人工毛の中にも「セーブル」を含む名前のものがあります。いくつかご紹介します。
リセーブル
リセーブルは、ホルベイン独自の合成繊維をブレンドした筆です。
1本1本特殊処理を施した合成繊維に、それぞれの用途に応じた天然の獣毛をブレンドしたホルベイン独自の画筆です。
従来高級とされてきたセーブルの天然毛は希少で高価であるため、ナイロン繊維を1本ずつ特殊処理することで、セーブル筆の感触や穂先のまとまりを再現しています。
画筆もくじ|ホルベイン公式通販
リセーブルシリーズには「ブラックリセーブル」「パラリセーブル」などの種類があります。
ブラックリセーブルSQを持っているのですが、使い心地がよく、つい手に取りたくなる筆です。
PCセーブル
名村大成堂のPCセーブルも、人工毛の筆です。
短軸のナイロンセーブルは、特有の弾力に加えて絵具含みが良く、ペインティングクラフトは勿論、アクリル・デザイン・ネイルアートなど広い範囲にご使用頂けます。
原材料:ナイロン茶毛
ナムラ PC セーブル | 水彩・油彩などの各種画材筆は名村大成堂
アクリル画にも使えるナイロンの筆です。軸の色がかわいい。
ネオセーブル
ぺんてるのネオセーブルは小学校でよく使われる筆です。使ったことがある方も多いかも。
様々な種類のナイロン毛をブレンドし均一に配合しているので、穂先の水ふくみが良く、広い面もムラなく一度に塗る事ができるため、描画がスムーズです。
ぺんてるえふで ネオセーブル|商品紹介|ぺんてる株式会社
見た目は子ども向けの感じがしますが、子ども向けゆえに転がり止め機能があったりします。地味に便利。
この記事を書いている時点では3本セットで571円でした。安すぎて驚きます。
セーブルについてまとめ
以上、セーブルの種類や名称についての記事でした。この記事を要約すると、
- イタチやテンの毛を総称して「セーブル」と呼ぶ
- セーブルの中でもコリンスキーは特別
- リセーブル、PCセーブル、ネオセーブルなどは人工毛の筆の名前
ということです。
この記事を書く際、特に以下の記事を参考にさせていただきました。
この記事がお役に立てば幸いです。