12種の色鉛筆について、それぞれ赤青黄の3本を使って、描き心地や色を比べました。
この記事で扱う色鉛筆は「主に画材屋さんで見かけるような色鉛筆」「1本ずつ入手できる色鉛筆」です。
12種類の色鉛筆で同じものを塗り比べてみたので、それぞれの色鉛筆について良い点と悪い点を正直にレビューします。
なお、3本バラ買いしたものが多いため、描き心地のレビューが中心になりそうです。セット色のことや詳細な個別レビューは、後に少しずつ追加したいと思っています。
文具系色鉛筆との違いは?
このブログでは「画材系」「文具系」とざっくり分けて紹介しています。
画材系の色鉛筆は、文具系の色鉛筆と比べて
- 価格が高い
- 色数が多い
- 発色、混色、重ね塗りなどの性能が高い
- 芯は硬めから柔らかめまで色々
といった違いがあります。
「本格的にイラストや塗り絵を描きたい」「はじめからいい色鉛筆を使ってみたい」という方におすすめです。
どの位使うか分からないし、お手頃価格の色鉛筆から選びたいな、という方には文具系色鉛筆の比較記事もあります。
ホルベイン アーチスト色鉛筆
ホルベインアーチストのおすすめポイント
- 150色とカラーバリエーションが豊富。パステルカラーだけのセットもある
- 明るくはっきりした色が多いので、好みが分かれるかも
- 発色が綺麗で、色がしっかり濃くつく
- やわらかめで広い範囲も塗りやすい
- 取り扱っているお店が多い
ホルベインアーチストの惜しいポイント
- 色がムラになりやすい気がする
- テカり感がやや強い
- セットの缶の見た目があまり好みではない
ホルベインアーチストの詳細
ホルベインのアーチスト色鉛筆は、クレヨン感のあるやわらかめの色鉛筆です。
鮮やかな色が多く、パステルカラーだけのセットもあります。
3本ずつ買った色鉛筆が多い中、実は今回のレビューの中で唯一、36色セットを所有しています。
ただ私の塗り方と相性が悪いのか、ムラになったり仕上がりがなんとなく荒くなったりして、コントロールが難しいなと感じている色鉛筆でもあります。
鮮やかではっきりした色や、パステルカラーが欲しい人にはおすすめです。
パステルトーンセットは12色と50色のセットがあります。下記リンクは12色。
ファーバーカステル ポリクロモス
ポリクロモスのおすすめポイント
- 薄塗り、厚塗り、混色、線描きなど何でもこなせる万能色鉛筆
- きめ細かく、精密に描ける
- 画用紙などの粗目の紙で描いたときも、他の色鉛筆よりきめ細かい
- 描き心地がいい
- テカリ感は控えめ
- 薄めに塗った箇所なら消しゴムもある程度効く
- 取り扱っているお店はそこそこ多い
- 最大120色
ポリクロモスの惜しいポイント
- きめ細かく描けてしまうので、つい時間をかけて丁寧に塗ってしまいがち
- 今回紹介する色鉛筆の中では高価
ポリクロモスの詳細
この記事の色鉛筆の中で最も、誰にでもおすすめしやすい色鉛筆だと感じたのがポリクロモスです。
何でもできる色鉛筆なので、いろんな塗り方を試してみたい人にもおすすめ。
硬さは程よく、硬すぎずやわらかすぎない。描き心地はとても滑らかで気持ちいいです。
塗っているときに唯一感じたデメリットは、つい塗るのに時間をかけすぎてしまう点。きめ細かく塗れるので丁寧に塗ってしまうんですよね。
またとても高品質な色鉛筆なので、お値段は結構します。
もし予算が許すなら、ぜひ手にとっていただきたい色鉛筆です。
サンフォード カリスマカラー
カリスマカラーのおすすめポイント
- クレヨンのようなやわらか系で、こってり塗れる
- 個人的には今回塗った中で一番やわらかく感じました
- 綺麗に色が混ざる
- 塗るのが早い
- 最大111色(一部色はバラで買う必要あり)
カリスマカラーの惜しいポイント
- 筆圧高い人は細い線が描きにくいかも。尖らせてもすぐ先が丸くなるし、先が折れることも
- 油断するとすぐ一番濃い色で塗れてしまう
- カリスマカラーとプリズマカラーで商品の情報が分かりにくい
カリスマカラーの詳細
こってり塗れる色鉛筆。塗り心地はクレヨンみたいにヌルヌル系で、どんどん塗り進めることができます。ちょっと粉が多めに出るかも。
気を抜くと濃く塗れてしまうので、一色で濃淡を出すような塗り方は難しいかも。しっかり濃く厚く塗りたい人におすすめです。
カリスマカラーとプリズマカラー
プリズマカラーと呼ばれる海外版の商品があったり、会社の表記もサンフォードとかベステックとか書かれていて、商品の情報がちょっと分かりにくいです。
2021年10月現在は、日本国内の画材屋さんで普通に買うと、カリスマカラーが買えることがほとんどだと思います。
以下のベステックさんのページで、カリスマカラーの説明とカラーリスト(111色、2021年10月現在)が見られます。
このページを読んだ感じだと、プリズマカラーの芯をアメリカのサンフォードさんから入手し、日本国内で加工してベステックさんから販売されているのがカリスマカラーということらしいです。それで表記がいろいろあるのですね。
プリズマカラーは持っていないのですが、レビューなどを見ると、カリスマカラーより色数が多く150色まであるものの、品質にはかなりばらつきがあるようです。
国内で一本ずつ入手しやすく、品質の安定しているカリスマカラーの方をおすすめします。
カランダッシュ パブロ
パブロのおすすめポイント
- 一体何回色を重ねられるのだろう、と思うくらい重ね塗りができる
- 薄塗り、厚塗り、混色、線描きまで割と何でもできる。厚塗りは回数で重ねる感じ
- 薄めに塗った箇所なら消しゴムもある程度効く
- テカリ感は控えめ
- 軸が細くて六角形なので好みが分かれるかも。転がりにくいのがちょっと嬉しい
- 個人的に相性がいいらしく、なぜか上手く描ける
- 最大120色
パブロの惜しいポイント
- 塗り心地は少しカサカサする
- 今回紹介する色鉛筆の中では高価
パブロの詳細
私はカランダッシュパブロと相性がいいらしく、今回の記事以外にも塗り比べや描き比べをしていたのですが、なぜか上手く描けることが多いです。
軸が細目で、油性色鉛筆には珍しい六角形です。気になる人もいるかもしれません。
重ね塗りが得意で、少ない色数でも表現しやすいのが原因かと思ったのですが、単色で濃淡控えめに描いても割とよく描けるのが謎です。
次に色鉛筆を集めるならパブロを集めたいと思っています。
カランダッシュ ルミナンス
ルミナンスのおすすめポイント
- 超濃厚
- 全色耐光性が高い
- 重ね塗りが自在
- 柔らかい。紙に当てるとパステルっぽいさらさら感、重ね塗りは滑らかな感覚
- 太めの木軸は握り心地がいい
- 公式ページに顔料が記載されてて驚いた
- 最大100色
(一部色はバラで買う必要あり)
→(2021年11月追記)100色セットが発売されたようです(参考:カランダッシュ公式、新製品情報(カランダッシュ取扱のホルベイン社ニュースページ))
ルミナンスの惜しいポイント
- 色鉛筆の中でも極めて高価
- お高い上にやわらかくて減りが速く、お財布に厳しい
- 軸が太いので、鉛筆削り派の方は太軸用が必要
ルミナンスの詳細
とにかく濃厚。顔料を塗ってるぞ!という気分になります。
しっかり発色するし、綺麗に混色できるし、何度も重ねられるし、塗り心地もさらさらで気持ちいい。
値段のことを気にしなくていいなら一番おすすめですが、高価です。色鉛筆は水彩等と比べると消耗も速めなので、お財布に厳しいのが難点です。
このルミナンスですが、色鉛筆のカラーチャートに顔料が掲載されているのを初めて見ました。
ルミナンス 6901 – 40色セット プロのニーズに応える優れた耐光性 | Caran d’Ache
※ページの下の方にある”Colour_Chart_Luminance”をクリックして開くPDFに顔料の記載があります
トンボ鉛筆 色辞典
色辞典のおすすめポイント
- 色鉛筆本体も辞書風ケースも見た目が最高。気分が満たされる色鉛筆
- セットがトーン別に分かれており、他のメーカーではあまり見ない色もある
- 意外と混色もできる
- 芯は硬め。細部の書き込みや線描はやりやすい
- 今回紹介する色鉛筆の中では安価
- 取り扱っているお店が多い
- 最大100色(一部色はバラで買う必要あり)
色辞典の惜しいポイント
- 色はトーン違いがメインなので、足りない色が出てくるかも。白はない
- テカって限界になってしまうのがやや早め
- 新色10色もケース作ってほしい…
色辞典の詳細
とにかく見た目がいい。ケースも含めてコレクションしたい色鉛筆。
お試しで3色だけ買ったのですが、意外と使い心地も良く、早く集めたい気持ちでいっぱいです。
色辞典は第一集〜第三集と新色10色の合計100色があります。新色10色はケースがないようです。あのケースがすごく可愛いのに、ちょっと残念。
今回私が使用したのは、第一集の中に入っているビビッドトーンの3色です。
三菱鉛筆 ユニカラー
ユニカラーのおすすめポイント
- 透明感のある綺麗な色。淡く美しい色で塗れます
- 比較的硬めで芯が減りにくく、細い線を長く持続できる
- 今回紹介する色鉛筆の中では安価
- 取り扱っているお店が多い
- 最大100色
ユニカラーの惜しいポイント
- 重なりは綺麗だが、すぐテカってしまい重ねられる限界は早め
- 濃く塗るのが大変
- 書き味は滑る感じで、好みが分かれそう
ユニカラーの詳細
三菱鉛筆のユニカラー、使ってみるととても「色鉛筆」という感じでした。
他の色鉛筆にはクレヨンのような塗り心地、パステルのような塗り心地など個性的なものも多いのですが、ユニカラーは普通に色鉛筆という感覚です。ややツルツル感があります。
色に透明感があります。重ね塗りも少しであれば美しく重なりますが、重ね塗り限界が早め。深さや濃さを出しづらいのが惜しいです。
淡い色合いで描きたい方にはおすすめできる色鉛筆です。
三菱鉛筆 ユニアーテレーズカラー
ユニアーテレーズカラーのおすすめポイント
- 消しゴムで綺麗に消える
- はみ出ても消せるから大丈夫
- 下絵を描いたり配色を考えたり。消せることによっていろんなタイミングで活躍できる
- 今回紹介する色鉛筆の中では安価
ユニアーテレーズカラーの惜しいポイント
- 色がかなり薄くつく
- 重ね塗りや濃く塗るのは苦手
- 濃いめに塗った箇所がツルツルする
- 最大36色と少なめ
ユニアーテレーズカラーの詳細
消しゴムで消せる!ということに特化した色鉛筆だと感じました。
混色や重ね塗りが苦手なので、本格的に絵画を描く用途には別の色鉛筆を持っておく方がいいかも。
しかし綺麗に色が消えるという特徴のおかげで、活躍できる範囲はかなり広いと思います。
消しゴムを使うかもしれない作業全般におすすめできます。
ターレンス ヴァンゴッホ油性色鉛筆
ヴァンゴッホ油性色鉛筆のおすすめポイント
- やわらかめの芯で、塗り心地がとても良い
- 層になる重なり方がいい
- 意外と安い値段で売ってることがある
ヴァンゴッホ油性色鉛筆の惜しいポイント
- 後ろの部分が全部同じ色。斜めペン立て派は見づらいかも
- 最大60色とやや少なめ
ヴァンゴッホ油性色鉛筆の詳細
塗り心地がいいです。やわらかめですが、ホルベインアーチストやカリスマカラーまではやわらかくない、程良いやわらかさです。
重ね塗りすると、綺麗に層になって重なる印象です。黄色の上はかなりツルツルで描きづらかったので、塗るときは濃い色を先に塗るのがいいかも。
描き心地もよく、塗ったものは色鉛筆感のある仕上がりになるので、やわらか派だけどこってりしすぎないのが好みの方におすすめできます。
後ろの部分は紺色にコーティングされていて、おしゃれですが収納によっては色の判別に困るかも。普段他の色鉛筆はこの部分で見分けることが多いので、うっかり見てしまいがちです。
この記事を書いた2021年10月時点で、36色の価格に比べると60色セットがお買い得感あるなと思ったので、60色セットもリンクを掲載します。
※サクラクレパスとターレンスジャパン両方のリンクを見つけたので掲載しています。
グループ会社らしいです(参考:サクラクレパス公式サイト)
リラ レンブラントポリカラー
レンブラントポリカラーのおすすめポイント
- 軸は細め。好みが分かれるかも
- 消しゴムでもそこそこは消えます
- 木軸でかわいい
- 重ね塗り、混色も綺麗にできる
- なんとなく塗ってて楽しい
レンブラントポリカラーの惜しいポイント
- 最大72色でちょっと少ないかも
- 値段はやや高め
レンブラントポリカラーの詳細
塗っていて楽しい色鉛筆です。相性がいいのかもしれません。
この色鉛筆で塗ったのは塗り比べの終盤で、球体を塗るのに少し飽きつつあったのですが、そんな状態でもレンブラントポリカラーは塗るのがとても楽しくて、塗り終わってしまうのが寂しいと感じました。
芯はやわらか寄り、滑らかで塗り心地は気持ちよく、色は重ねても綺麗です。
軸はかなり細身です。握りやすいですが、合わない人もいるかも。
レンブラントポリカラーは塗るのが楽しく、手に取りたくなる色鉛筆なので、ぜひ色を揃えたいと思っています。
ダーウェント アーチストペンシル
ダーウェントアーチストのおすすめポイント
- 一度に色がつく量が控えめで、淡い色になる
- 芯はかなり硬め
- 消しゴムもそこそこ効きます
- 彩度が控えめな色合い
- 優しい色で描きたい人におすすめ
- 最大120色
ダーウェントアーチストの惜しいポイント
- テカって限界になるのが早め
- 芯が折れやすく感じる
- 木軸の木の部分は少しガサついている。気になる人もいるかも
- 厚塗りには向かない。無理やり頑張ると腕が疲れます
- 軸が太いので、鉛筆削り派の方は太軸用が必要
ダーウェントアーチストの詳細
淡く優しく描きたい人におすすめできる色鉛筆です。
色は薄くつくものの綺麗で、混色もできます。混色の際は濃い色から塗れば混ざりやすいです。
その反面、こってり厚塗りしたい方など、しっかりと塗れる色鉛筆を好む方は違う色鉛筆がいいと思います。
比較のためにグリグリ頑張りましたが腕がしんどかったです。
自分の描く絵がこの色鉛筆と合いそうだと思ったら、試してみるのをおすすめします。
ダーウェント カラーソフト
ダーウェントカラーソフトのおすすめポイント
- 描き心地がさらさらふわふわで気持ちいい
- やわらかめの芯
- 均一に塗りやすい
- 色合いは優しめ。ブルーは特にソフトな色でした
- 軸はマットですべすべ系。普通のツヤのあるタイプと違うので、好まない人もいるかも
- 消しゴムもそこそこ効きます
ダーウェントカラーソフトの惜しいポイント
- 木軸の木の部分は少しガサついていてちょっと気になる
- 精密には描きづらいかも
- 筆圧をかけると芯が折れてしまいがち
- 軸が太いので、鉛筆削り派の方は太軸用が必要
- 最大72色でちょっと少なめ
ダーウェントカラーソフトの詳細
描き心地がとても滑らかで気持ちよく、均一に塗ることができます。
色を重ねて混色もできますが、厚塗りまでは重ねづらいです。ほどほどに重ねるのがおすすめ。
普通の太さの色鉛筆削りにギリギリ入りませんでした。入っていると勘違いして無理やり入れて回してしまい、内部で芯が折れてしまったことがあります。
握った感じは極端に太いとは感じず、程よく持ちやすいです。コーティングはマットで好みが分かれそう。
ふわふわの描き心地で均一に塗れるので、広い面積を塗ったり、塗り絵にも楽しそうな色鉛筆です。
12種の色鉛筆を振り返り
塗り比べてみて、どれも違った特徴があるのに驚きました。一言ずつ振り返ります。(リンクはAmazonです)
- 色のバリエーションが豊富なホルベインアーチスト
- 何でもできる万能色鉛筆ポリクロモス
- こってり塗るのにおすすめなカリスマカラー
- 重ね塗りが得意、なぜか上手く描ける気がするパブロ
- 高価で高品質なルミナンス
- 見た目が好きすぎる色辞典
- 透明感のあるユニカラー
- 消しゴムで消せるユニアーテレーズカラー
- 塗り心地のいいヴァンゴッホ油性色鉛筆
- とても楽しんで塗れたレンブラントポリカラー
- 淡く優しい色で描けるダーウェントアーチスト
- 滑らかで均一に塗りやすいダーウェントカラーソフト
描いたものの仕上がりが全然変わってくるし、描き心地や相性の良さはかなり差がありました。
いろいろ試してみると新しい発見があるかもしれません。
性能や色数は控えめになりますが、予算を抑えられる文具系色鉛筆の比較記事もあります。